映画に、感謝。
心の通い合い。それには一歩、歩み寄ることが必要だ。
その歩み寄りがどちらもの心をかすめたらば、共感が生まれ、「人間っていいな」と、でんぐり返しをしたくなる気持ちになるのである。
家にJCOMの人が来た。なんでも、住んでいる賃貸マンションに新しく受信機を置くので家にあがってちょっとした作業とその説明をするためということだ。
作業は数十分かかるということで音がないと少し緊迫するなと思い、テレビはつけっぱなしにしておいた。
なにが流れていたかというと、「アントマン」という映画だ。
テレビの前のソケットの前に座ると、その係の人は「お、アントマンですか。いいですね」と映画に対してのコミュニケーションを発した。ニコニコしている。
それはあからさまに、映画に対して好意があった。
ちなみに、オイラはそんなにこの映画は好きではない。
しかしオイラは歩み寄った。
「アントマンって、名前がユニークですよね」なんて当たり障りのないことを皮切りにマーベル作品は何が好きかとか、役者はどうやって撮影しているのかとか、マーベル作品のことはたいして知らないないけど、聞いたりして。
そうすると、そのJCOMの人は、マーベル作品のことを遠慮がちにたくさん話し出して、ただ気まずく作業を終えるのを待つ時間に和みができた。
心の触れ合いである。
営業する方だけでなく客の立場でも、歩み寄ることでほんの数分でもほんのりと楽しい気持ちになれる。
それは例えば妻の死の原因を隠す父とそれが原因で父を信用できない娘でも、気持ちを緩めて歩み寄れば、スッと誤解がとけるようなものだ。
まあ、途中会話をしないでこのまま「アントマン」流しながら黙ってレトルトの麻婆丼食べてようか、と思ったりもしたけど。
共通の話題になってくれた映画、『アントマン』に、感謝。