夕暮れのお兄さんに、感謝。
一日家にいると、心も湿ってしまう。
派遣の仕事の契約を終え、次の仕事を見つけるためにパソコンの画面の光を浴び続けている。
相方と交わす言葉も、少ない。
日中少しでも外に出ればいいのだが、外に出る時間も惜しいほどに目の前の箱から生活の糧になるものを引き出そうと必死なのだ。
今日も『indeed』という重箱の角をつついても仕事が見つからずに疲れ果てて、ふと窓の外に目をやると、大柄の男が外に見えた。
ちなみにここは二階建ての二階だ。
今、住んでいるマンションの改装工事をやっている。
一週間以上工事が進んでいなかったが、やっと動き始めたようだった。
さすがに相方との姿や会話を聞かれたくなかったので、空いてる窓を閉めようと窓の前に立つと、とび職のお兄さんが話しかけてきた。
「こんにちは!」
そう言う彼の橙色の夕日を背負って見せる笑顔が、もぎたてのハッサクのようだった。
それは、この湿った部屋にシリカゲルが放り込まれたくらいの効果があったかもしれない。
ハッサクの橙は、オイラの好きな色だ。
働いている人間の活き活きした様を見て、それはやっぱり王道の輝きだよ、などと思って、またパソコンに顔面をさらした。
オレンジ色を帯びたお兄さんに、感謝。
今週のお題「わたしの好きな色」